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NOOK IN THE BRAIN
the pillows

試聴 ALBUM - 2017年03月08日

the pillowsの2017年リリースアルバムは、コンポーザー山中さわおの十八番、オルタナティブロックが軸となる作品。

2017年冬以降に米国カトゥーンネットワークにてOAが決定している、the pillowsの名前を海外に知らしめた『フリクリ』続編の音楽担当にも決定しており、今作はその布石と言えるような良質なオルタナロックが並ぶ。

収録曲
1. Envy
2. 王様になれ
3. Hang a vulture!
4. パーフェクト・アイディア
5. Coooming sooon
6. She looks like new-born baby
7. パルス
8. ジェラニエ
9. BE WILD
10. Where do I go?

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“知識の角度変える思考回路の旅 そこから始まるぜ” the pillowsが切り拓く新たなオルタナティブ・ロック

the pillows 21枚目のアルバムが完成した。その名も『NOOK IN THE BRAIN』。直訳すると“脳みその端っこ”といった意味だが、コンポーザー 山中さわおが描くテーマは、絶対的に解決できない、コントロールできない事実で気分が優れない...。そんなときにどう自分を錯覚させるか。状況が変わらないならば、どうやって楽しく生きていくのか。自分の脳みその隅っこを辿って、角度を変えて脳内に楽しみを見出すことだという。

1989年に結成し、自分たちのやりたい音楽性と周囲の期待する方向性とのギャップと常に闘い、ひとつひとつ落とし前をつけながら、20周年には日本武道館を即日完売させるほどの評価を獲得したthe pillows。山中はその道程で、“困難に対して自分のスタイルで立ち向かっていく”というテーマの楽曲を作り続けてきた。2012年に“バンドのメンテナンス”として活動を休止、バンドの状態、情熱が万全でないことを打開するための荒療治を経て、シーンに還ってきた彼らは、2015年に発表された前作『STROLL AND ROLL』で、“ふらふら散歩するように楽しもうよ”という、永くバンドを継続するための新たなスタンスを盛り込んだロックンロール・アルバムを作り上げた。

そして到着した本作。サウンドはこれまで幾度となく発表してきたタイプとはまた違った、新たなオルタナティブ・ロック・アルバムとなった。真鍋吉明と山中が奏でるトリッキーでユニークなギターの絡みが醸し出す、型にはまらない音世界。独創的なアレンジを抜群の安定感で支える佐藤シンイチロウのドラムも秀逸。前述した“自分の脳みその隅っこを辿る”テーマに基づいた詞の世界も味わい深い。“脳細胞の支配下で世界を創れ”と歌う、先行配信シングル「王様になれ」や、“想像と違う未来でも楽しむだけ”(「パーフェクト・アイディア」)、“Throw away a rule book”(「She looks like new-born baby」)など、イギリスのEU離脱、アメリカ大統領選のトランプ勝利、韓国の大統領弾劾可決など、想像もできない不確実な時代を生き抜くための哲学にも思えてくる、と言ったら大袈裟だろうか。

他にも、2016年リオ・オリンピックで奇跡の逆転金メダルでその後の日本女子レスリング快進撃の口火を切った登坂絵莉選手のために山中が書き下ろした「BE WILD」も収録。大会前から登坂選手が「勝ち曲」と公言していた「Funny Bunny」を彷彿とさせる“逃げ出したくなる孤独な夜は こぼれた涙がキミに問いかける 太陽に手を伸ばしてみたいだろ?”というフレーズは、アスリートの心情を見事に描いた名曲。山中の美しく切ないボーカリストの魅力が堪能できる壮大で感動的なナンバー「パルス」、愛情あふれる優しさにグッとくる「ジェラニエ」など、聴きどころ満載の全10曲。
結成28年目にして、また新たな地平を歩き始めたthe pillows。重ねた歳月や時代の風を敏感に受け止めながら、(BUSTERSを含めた)自分たちが進むべき道を、軽やかにポップに示してくれる作品だ。米国では、2017年冬以降に放送が決定している「フリクリ」続編にも起用が決まった彼ら。2000年に「Ride on shooting star」をはじめとしたオルタナ・サウンドで世界を席巻した快進撃が、再現される日も近いと思うと今からワクワクしてしまう。

浅野保志(ぴあ)